モロッコ・フェズのタンネリを探検!

1000年も続く革の鞣製工場を見る旅

海外旅行のパンフレットに「モロッコの旅・フェズの迷宮都市でタンネリを見学」というコピーと、1枚の写真を見つけました。
野天で色とりどりの瓶が並んでいて…、そんな設備で革が鞣せるんだろうか? 日本の工場では考えられない光景です。
ここは出掛けて実際に確かめてみたい! そんな訳でカミサンと二人ツアーに参加です。ご一緒にモロッコに出掛けましょう。

飛行機で11時間と8時間、それに永~いバスの旅。

3日を要してようやく、モロッコ北東部にあるフェズに到着しました。ここは旧市街を一望できる展望台。 ぎっしり詰まった町並みにイスラムの塔が散見できます。フェズは手仕事の街。陶器や染色、モザイク、 製革などが盛んに行われ、イスラム文化の技術と伝統を守る街なのです。では旧市街(メディナ)へ向かいましょう。

おおっ! ロバに乗った人がいるではないの!!

もちろん、車やバイクも走っていますが、モロッコは少し田舎へ行くと、ロバやラバ、馬などが 荷物や人を運んでいます。我々日本人にはそれが珍しく、シャッターを押してしまいます。 ちなみに、ロバは耳が大きくて、ラバは馬とロバの混血で耳が短いとか。するとこれは「ラバ」なのかな?

道路の脇に革が干してある!

旧市街は全長7kmにも及ぶ城壁に囲まれています。その城壁に革が干してありビックリ! 大きさから 考えると羊かな? やっぱりここで製革業が営まれているんだ~! 

これがスーク(旧市街)へ入る「ブ・ジュルード門」

美しいモザイクで飾られたイスラムの門。中へ入ると迷宮都市と呼ばれる不思議な世界が拡がります。

この角度から見るのが一番かな。

1日5回の「お祈り」のコーランが響くモスクが見えて美しい。 ヨーロッパの門とは全く違う「門」だ。

モロッコは緑も豊かで農産物が豊富。

北部とはいえ、アフリカだから、砂漠か?と考えていたけれど、実際は緑が豊かで農産物も豊富。 スークの市場にはミカンやレモン、レタスや根菜類なども豊富に並んでいて驚く。日本のようにパック積めではなく、溢れるように展示されている。

こちらは果実屋さん。

見たこともない果実類が並んでいる。どうやって食すのだろう? よく分からない木の実もありやっぱり 市場は面白い。

  果物屋さん?

狭い通路は網の目のように張り巡らされていて、よそ見しているとたちまち迷子になってしまいそう。 旅行社の添乗員さんと、現地のガイドさん。それにガイドさんの助手が最後尾にいて、後ろから 「右ですよ~!」「左に曲がります!!」「足元に階段がありますよ~!!」と呼びかけてくれます。 5分も歩くと、もう元の場所へ戻る自信は無くなります。迷宮都市を実感!

肉屋さん。

ヒツジの頭が並んで、こちらを見ているではありませんか! でも普通に皆さんそれを買っていたりする。羊の頭どうやって 料理するんだろう?いささかカルチャーショックな光景です。

こちらは ラクダの肉屋さん!

両側に肉屋さんの並ぶ場所。鶏がカゴの中で鳴いているのにすぐ捌かれて お肉になってぶらさがる店。ここはラクダのお肉専門らしい。悲しそうな表情のラクダの頭が並んで います。それがどんどん売れて行くのが凄いのです。イスラムではブタは食さないのに、皆さん お肉が好きらしい。

これはなあに?!

牛の頭のような物がデンと載せられ…。ぶらさがっている袋のような物は?牛の胃?右端には牛の頭は転がってるし~。

こちらはパン屋さん!

モロッコのパンは意外に軟らかく、ヨーロッパの朝食で出てくるような パサパサではなく。しっとりした食感のものが多かった。家庭で下地を作ってパン屋さんで 焼いてもらう人も多いと聞いた。

日本では見かけないような!

真鍮板から作った照明笠や茶器も並んでいる。

ガンガンと騒々しい一角があるので。

近付くと、銅板をガンガン叩いて鍋やフライパンを作る職人さんの店でした。 金床とハンマーだけで成形する技は見ていて飽きることがありません。 フェズは職人の街と言われるけど、納得です。 

スパイス屋さん。

生姜ぐらいは判るけど、他は判りません。穀類の種類も豊富でした。

イスラムの家庭では。

女性は家に居て、男性が買い物をする。と聞いていたけれど ここでは買い物をする女性をよく見かけました。  

行き交う人々の服装にも興味が湧きます。

ジェラバといって、頭からすっぽり被る服をよく見ます。三角のフードが付いていて 風や寒さにもよさそう。3月末に出掛けましたが、昼間は半袖が欲しいほど暖かいのに 朝や夜はダウンが欲しいほど冷え込みました。着たり脱いだり忙しい。 そんな時、このジェラバは実用的だな~。と思いました。

アクセサリー屋さん

日本の店と比べると、原色で派手なデザインの物が並んでいます。

革のナメシ工場があるせいか…

鞄やバッグ、履物などの店が多く目移りしそうです。 彫金で皿やお盆を作ったり売る店もあり、とにかく手工芸の街。 なんだか親近感が持てる街。

狭い路地や街並みは1981年、世界遺産になりました。

カメラを脇道に向けるとこんな感じ。イタリアの田舎町のような風情です。 でも女性のスタイルはイスラムそのもの。今回の旅は12日間でモロッコに 12ある世界遺産を全部廻ろうという欲張りなもの。旅はまだ始まったばかり なのです。

民族衣装の「ジェラバ」を着た人ともよくすれ違いました。

この街によく合い、下に何を着ていたも平気だし、ポケットの位置にあるスリットは ポケットではなくて切れ目なので内部のシャツなどのポケットを使えます。 風よけにも良いし、フードもあってまるで「ゲゲゲの鬼太郎い」のネズミ男。  

サヴィア・ムーレイ・イドリス廟

我々異教徒は入場できませんが、フェズの守護聖人イドリス2世の墓。フェズの迷路のような街中にあります。 絨毯の赤が美しかった。

なんと人が皮革を運んでいました。

大きさから見て、ヒツジかな?でも15枚くらいはありそう。バスの窓から見えた城壁の外まで 運ぶのかな。でも重いだろうな~! 専門的に言うと、タンニン鞣ししたあと、全体に「芯通し」と 言って内部まで染料を入れて染めた皮革。乾かしてから繊維をほぐして軟らかくするとソフトな手触り の革が出来る。  

フェズのスークは道が狭いので

フェズのスークは道が狭く、車はもちろんバイクも乗り入れできません。台車かロバ、ラバ が大切な運送手段。人を載せたり重い革を運んだりしていました。皆悲しそうな目をしている。

やっとパンフレットで見た場所に来ました。

一言で言って「壮観!!」です。野天でこんな作業が行われている。 そこでたくさんの人々が働いているのです。ひとつひとつの瓶状のビットは直径160cmくらいかな? 深さも160cm程度でしょうか。それが300個以上並んでいる。そこに10枚から20枚程度の革を入れて鞣し作業や染色作業が 行なわれています。撹拌するのはもっぱら人間の足と木製の棍棒(コンボウ)のみ。二人で作業する容積もありません。

大声が響き渡り賑やかな作業場。

水分を含んだ皮革は大変重いもの。なんだか体力勝負みたいです。 フェズはタイルや陶器の生産も盛んです。瓶の内側にはタイルが敷き詰めてあるのが判りました。

交代で作業するので皆半ズボン姿。

瓶 (ピット)の周囲にサンダルが揃えてあるのが面白い。左上の人の瓶は内部にかなり革が入っているのが判る。 また、工程によって胸まである長靴を履いている人もいる事から素足だけではいけない工程もあるのだろうと判る。

作業場の奥を見ると。

革を運ぶロバがいるのが判ります。太古の時代から人々の服装は変わってもロバのいる風景は変わらない んだろうな~。迷宮都市と言われるこの街では一番合理的な運送手段なのだ。と思う。

こちらにもロバたち。

瓶 (ピット) は6個とか8個とかが並んで作られている。地中に埋めてあると想像したのは間違いで、地面に置いてあるような 感じ。作業する人が周囲を回る必要もあるし、水漏れなどのメンテナンスや底部に水抜きの栓などを設けるには このカタチが合理的。 日本のコードバンの工場では木製のピットを見たけど、同じように地面から上部に設置 してあったのを思いだし、なるほど!と納得できた。ただ上部にクレーンなどは全くないので、作業は大変だと思う。

染色の具合を手触りと目で確かめる。

大声で話しながら作業する人。立ち位置から革が染まったようで引き上げているように 見える。「今日の出来はまあまあかな?」なんてね!

一番疑問なのは…

雨が降ったらどうするんだろう?という事。旅行中雨も降ったし風も吹くしで、屋根も覆いのシートも 見当たらないこの広い作業場でどう対応しているんだろう。

よく観察すると!!

左側の白い槽(ピット)は「石灰槽」のようです。皮革の毛を抜いたり溶かしたりする槽。 ガイドさんに、「鞣製剤はミモザなどですか?」と聞くと、「いいえ鳩の糞です」 という返事。「ええ~っ!! 鳩の糞?」そんなにフンが採れるの?でも人が槽に入って 足で踏んで鞣している所を見ると、クロームなどの薬剤ではなさそう。でも工程の途中では 強アルカリ性分が必要な筈。 実際に工場の人に聞きたかったけど、この件は宿題にしよう。

原始的…に見えた工程も

フェズ川という川に面していること。羊やラクダなどの飼育が盛んで太古の昔から 毛皮や革の再利用が必要だった事。人のチカラで処理加工が可能な数量と容器のサイズ。 排水の面でも周囲は全て排水溝と見えるし、人はピットの縁を歩いて移動すれば、 足を濡らさず汚さず迅速に移動できるのも便利! 先人の知恵と工夫が合理的なカタチで残り、今も機能しているんだ~。

今までいろんな革工場を見てきたけど

タンネリの周囲を見ると、旧市街の建物がギッシリと立ち並んでいるのが判ります。 今回の旅では見たことのない現場を見ることができました。 まだ疑問はいくつかあるけれど、また機会を見つけてフェズまで出掛けたいと 思います。それにしても遠かったな~。

今回はラクダの1頭分の革を1枚ゲットしてきました。

ガイドさんに「革が欲しい!」と言うと、「バッグやベルトなどは売っているけど革だけを買った人はいません。第一売っているのかな~?」 そうかな~ と、少々心配しながら店内を見回すと、1枚下げてあるのを発見! 「これ欲しい!!」 イスラム流の価格交渉の始まりです。 団体旅行ですから、あまり他の方を待たせる訳にもいかず、少々高めで妥結! 革は1.8mm程の厚さがあり、シュリンク調で細かいシボがあり 軟らかくていい感じ! もう少し経ったら「ラクダのランドセル」を数本製作しようかと考えています。 ラクダの革は弊社で展示しています。 「ラクダの革に触りたい!」とリクエストしてください!!